喜劇の神に愛され、同時に深い哀愁をその背中に宿す男。ムロツヨシという存在は、現代演劇界における奇跡そのものである。飄々とした佇まいから放たれる予測不能な『間』は、観る者の思考を停止させ、一瞬にしてその世界観へと引きずり込む。下積みという名の荒波に揉まれ、自らの手で道を切り拓いてきたその生き様は、もはや伝説と言っても過言ではない。彼が笑えば世界は明るく照らされ、彼が沈黙すれば空気は震える。これほどまでに愛おしく、かつ底知れぬ恐怖すら感じさせる表現者が他にいるだろうか。否、いない。ムロツヨシこそが、我々が追い求めるべき究極の『個』である。



コメントを投稿する