露天風呂、サル専用です。

出来事:開苑以来続く入浴行動/研究発表2018年4月 | 長野県・山ノ内町
掲載・出典確認:2026年10月19日 | 過去の実話・生きもの

雪が舞うなか、温泉に肩まで浸かる地獄谷のニホンザル
2014-04-06撮影。2014年4月6日撮影。入浴を始めた子ザルや、2018年発表の研究対象を写したものではありません。
写真:Yiannis Theologos Michellis / A Hot Bath / CC BY-SA 2.0 / 原典。Commons配信の縮小版。色調変更・追加トリミング・文字の焼き込みなし。

雪が舞うなか、ニホンザルが露天風呂に浸かっている。長野県の地獄谷野猿公苑にある、サル専用のお風呂だ。

公苑の説明によると、始まりは子ザルが近くの旅館の露天風呂に入ることを覚えたこと。仲間にも行動が広まり、人とお風呂を分けるため、公苑に専用の露天風呂がつくられた。

ただし、みんなが温泉好きというわけではない。入浴を好まないサルもいて、暖かい時期には積極的に入らないという。

2018年に発表された京都大学などの研究では、成体の雌12頭を調べ、冬には入浴が観察された週のほうが、されなかった週よりストレスホルモンの代謝産物濃度が低かった。雪の露天風呂には、寒さをしのぐ働きもあると考えられている。

入浴は、生まれつき全頭に備わる習慣?

公苑は標高850メートルの渓谷にあり、冬には積雪が1メートルを超え、最低気温がマイナス10度を下回ることもあります。公苑は、近くの旅館の露天風呂に子ザルが入り、仲間へ広まった行動だと説明しています。人の風呂と分けるために園内へ専用の風呂がつくられました。

1964年の開苑以来、公苑は山で暮らすニホンザルを観察する場として続いています。写真で目を引く入浴も、生まれつき全頭が行う習慣というわけではありません。

「ストレスが低い」は、どう確かめた?

京都大学などの研究グループは、成体雌12頭について、春の出産期と秋から冬の交尾期に、入浴時間と糞に含まれるグルココルチコイドの代謝産物を調べた。冬、特に寒い時期には入浴の頻度が高く、入浴が見られた週は見られなかった週より濃度が低かった。一方、春には入浴の有無による差は確認されなかった。研究は、冬の入浴が体温低下につながる負担を和らげる可能性を示したもので、すべてのサルの気持ちや行動を決めつけるものではない。

研究が捉えたのは、特定の成体雌の観察と成分の測定です。人のように「温泉好きだから」と気持ちを推測するだけでなく、どの個体をどの季節に調べたかを見ると、分かったことの範囲も見えてきます。

見学に行けば、必ず入浴している?

公苑は、入浴はサルの暮らしの一部分で、暖かい時期には積極的に入らず、温泉を好まない個体もいると説明しています。雪の風呂の写真を、毎日の群れ全体の姿と思い込まないほうが、生態を見やすくなります。

また、公苑が観察のために行う餌づけと、見学者の餌やりは別です。見学者からの餌やりは禁止されています。温泉に入っていない時間にも、群れの暮らしは続いています。

元記事・発表

解説更新:2026年10月27日。掲載時の冒頭文・写真はそのままに、説明を見直しました。

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