サケは、川のにおいを覚えて帰ってくる。

写真:Totti / Chitose_river_underwater_observation_1.jpg / CC BY-SA 4.0 / 原典。1280px以内のJPEGへ縮小。EXIF、XMP、GPSを除去。色調変更・追加トリミング・文字の焼き込みなし。
海へ出たサケが、何年もたって生まれた川へ戻ってくる。その最後の道案内に使うのは、川の「におい」です。北海道大学の解説によると、海へ下る時期に覚えた川のにおいを、成長したあとに思い出し、戻る川を見分けます。水の中にも、場所を区別する手がかりがあるのです。
秋は、北海道などでサケが川を上る季節です。水産研究・教育機構も今年の来遊状況を10月16日に公表しました。川へ向かう魚の動きには、小さかったころに覚えた情報と、長い海の旅とがつながっています。
川のにおいは、ひとつの成分ではない
北海道大学は、川や周りの植物、土壌などに由来する化学的な違いが、川ごとのにおいに関わると説明しています。研究からは、ひとつのにおい物質だけでなく、水に含まれるアミノ酸の組み合わせが重要だと示されています。
この記憶は、川から海へ下る幼い時期に作られ、長く保たれます。北海道の石狩市も、海へ出たサケが数年を経てふるさとの川へ戻るときに、水のにおいの記憶が関わると紹介しています。
においを使うのは、帰り道の最後の段階
においだけを頼りに、広い海のすべてを泳ぎ切るという意味ではありません。北海道大学の解説が示すのは、母川へ戻る最終段階で、覚えたにおいを使って川を識別するしくみです。海の旅と、川を選ぶ段階を分けて考える必要があります。
川を上るのは、産卵のためです。人の目には同じように見える水でも、サケには生まれた川を見分ける手がかりになります。見慣れた川の流れの中に、魚が覚えている違いがあるのです。
写真は2021年10月、千歳川の水中観察窓から見たサケの群れです。今年の来遊状況や、石狩市の川の様子を写したものではありません。
元記事・発表
もう一つ、世界の話を。
水の中の旅と、生き物の育ち方をたどります。