雪虫は、晩秋に暮らす木を替えます。

写真:栃内新 / トドノネオオワタムシ.jpg / CC BY-SA 3.0 / 原典。1280px以内のJPEGへ縮小。EXIF、XMP、GPSを除去。色調変更・追加トリミング・文字の焼き込みなし。
白い綿を付けたような小さな虫が、晩秋に飛んでいます。「雪虫」と呼ばれるものの一つ、トドノネオオワタムシです。雪を運んでくるのではなく、暮らす植物を替えるために、翅のある世代が移動しています。九州大学北海道演習林の解説では、晩秋にはトドマツからヤチダモへ移ります。北海道立総合研究機構の資料も、季節によって使う木と、その中の暮らす場所が変わることを示しています。白い点が飛ぶ秋の風景には、二種類の木を行き来する生活史があります。
木の上と、別の木の根際を使う
九州大学の解説によると、トドノネオオワタムシは、晩秋から初夏をヤチダモで過ごし、初夏から晩秋にはトドマツの根際で生活します。季節に応じて違う植物を使うことを、寄主転換と呼びます。
北海道立総合研究機構の資料は、モクセイ科の木では葉や細い枝、トドマツでは根が生活する部位だと示しています。木の種類だけでなく、木のどこを使うかも違います。
移る世代には、翅がある
アブラムシには、翅を持たずに繁殖する世代と、翅を持って植物の間を移動する世代があります。晩秋に見られる、白い綿状の物質をまとった有翅虫は、トドマツからヤチダモへ向かう段階です。
雪虫という呼び名は、白い物質をまとうアブラムシ類にも使われるため、すべてがこの種というわけではありません。ここで取り上げたのは、二つの木を使い分けるトドノネオオワタムシ。初雪の日を予報する話ではなく、季節に合わせて居場所を変える小さな虫の話です。
元記事・発表
もう一つ、世界の話を。
小さな生き物たちの、秋から冬への準備です。